利息制限法という法律には、利率の上限が定められています。元本が10万円未満の場合は年20%、元本が10万円以上100万円未満の場合は年18%、元本が100万円以上の場合は年15%が上限となっています。
かつては、利率については、改正前の貸金業法43条において、一定の条件を満たした場合には29.2%までの利息が認められるという規定がありました(みなし弁済規定とよばれています)。利息制限法で上限を定めていながら、特例としてこの上限を超えた利率を認容していたのです。そして、利息に関する法律にはもうひとつあり、出資法という法律では、年29.2%を超える利率でお金を貸した場合に、刑事罰を与えると定められていました。
上記の利息に関する3つの法律は非常にわかりにくく、利息制限法の上限を超えて、出資法の上限を超えない金利帯のことを、「グレーゾーン金利」などと呼ぶこともありました。
現実的には、このグレーゾーン金利は、有効とされることは非常に少なかったのです。貸金業規制法で定められた条件が非常に厳しく適用されていたため、条件を認めていると認定される業者がほとんどなかったためです(例外的に、シティズという会社などは、条件を満たしているとされ、有効にグレーゾーン金利を取得していたことがありました。もっとも、後述する平成18年判例以降には認められなくなりましたが)。しかし、それでも、貸金業者は、グレーゾーン金利での貸付を継続していました。裁判で争いになれば引き下がるけれども、裁判にならなければ、みなし弁済が有効であるという建前で、高金利での請求を継続していたのです。
しかし、この規定は最高裁の平成18年判例により、実質的に適用の余地がなくなりました。
貸金業者の契約書には、「期限の利益の喪失条項」という条項が通常あります。これは、約定どおりの返済をしないと、一括で支払いをするという内容の条項です。最高裁は、この条項が存在する以上、借主は、支払いを強制されていることとなり、みなし弁済の条件である「任意の支払い」というのはありえないと判示したのです。この判断により、みなし弁済規定は、有効となることがなくなり、その存在意義がなくなって、廃止されました。
このような経緯を経て、貸金業者が過去に取得した利息について、無効な受け取り部分が発生しました。そして、その無効な利息受け取り部分は、元金の支払いがされたものとして、計算をすることとなります。すると、利息制限法の上限金利を超えた契約が長期間継続すると、元金は徐々に減少していきます。そして、長期間の取引により徐々に元本が減少し、元本が0となった後も支払いを継続することにより、過払い金が発生することになります。過払い金は、法律上不当利得となり、民法704条により返還請求ができます。
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